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赤いタクシーと台風8号の間、一人で再び訪れた香港

2023.10.7 – 2023.10.8

連休が始まるとすぐに、深く考えず航空券を手配した。完全に自分だけのペースで歩いてみようと決めて出発した、一人きりの香港旅行。空港に到着して市内へと向かう2階建てバスの最前列に座ると、窓の外には夜の街並みがかすみながら広がっていた。ニューヨークのイエローキャブがその都市の顔であるように、香港の道路を走り去る赤いタクシーたちは、特有のアナログな情緒を存分に刺激してくれる。夜11時をとうに過ぎて到着した街は、静寂に包まれていた。初日の夜はとても遅い時間の到着だったため特にできることもなかったが、涼しい夜風を浴びながら静かに異国の街の息遣いを感じるだけで、それだけで十分だった。

香港空港から市内へ向かう2階建てバスの車内の様子

宿がある上環の街は、真夜中ということもあり静まり返っていた。趣のあるウエスタンマーケットの建物の前をゆったりと通り過ぎる赤いタクシーのヘッドライトが、歩道をほのかに照らしていた。道端に静かに停車する緑色のミニバスと、その背後にうず高くそびえ立つ高層マンションが織りなす夜景は、実に香港らしかった。特別な目的地も決めず、誰もいない夜の街をゆっくりと歩きながら、赤いタクシーの残像を目に焼き付けた。

上環のウエスタンマーケット前を通り過ぎる香港の象徴的な赤いタクシー

明かりが一つまた一つと消えていく高層マンションの窓を見上げながら、一日を締めくくった。昼間は多くの人々や車で行き交い賑わっていたであろう街が、夜になるとこれほど静かになるのが新鮮だった。

深夜の静けさが漂う上環の路地裏と停車中の緑色のミニバス
夜空の下にひしめき合う香港特有の高層複合ビル群

翌朝、目が覚めるとすぐに強烈な空腹感が押し寄せてきた。前日の夜、飛行機の中で機内食を食べたきりだったのだから当然のことだった。しっとりと雨に濡れた歩道を歩きながら、朝食を食べられる店を探した。評価の高い近所のローカル食堂「栄邦焼味」を見つけ、迷わず中に入った。ショーウィンドウの向こうに、こんがりと焼き上がった鴨や豚肉が美しく吊るされており、口の中に唾液が広がった。

上環にあるローカルなロースト肉専門店の外観
テーブルの上に整然と並べられた調味料とメニュー

席について、ローストダックとローストポークが半分ずつのったダブル具材のバーベキュー丼と、冷たいコカ・コーラを注文した。しばらくして運ばれてきた皿には、こんがりとパリパリに焼かれた皮が魅力的なお肉が、白いご飯の上にたっぷりと盛り付けられていた。一口かじると、皮はスナックのようにパリッと弾け、お肉は柔らかな肉汁で満たされた。ここに、テーブルに置かれた甘酸っぱくてピリ辛の特製ソースを少し垂らして食べると、香ばしさが一層引き立った。朝食としてこれ以上ないほど完璧で、満足のいく食事だった。

パリパリの皮の鴨肉と豚肉のローストがのった丼とコーラ

路地ごとに染み込む思い出と予告なしに訪れた風

お腹を満たした後、ゆっくりと中環の方向へ足を向けた。赤いレンガと神殿風の柱が印象的な複合文化施設「大館(タイクン)」の長い階段の前に立ったとき、忘れかけていた昔の思い出がうっすらと蘇ってきた。「初めて香港旅行に来たとき、この階段で友達が綺麗に写真を撮ってくれたっけ」。あの頃は、毎晩のように蘭桂坊(ランカイフォン)の活気ある夜の街を一緒に巡った後輩もいた。年月が流れ、あの友人たちはみんな結婚して子供を育てており、私だけが今もこうして一人でここに立っていた。不思議な感慨が押し寄せたが、一人旅の静けさがもたらす気ままな自由さも、それはそれでなかなか格好良いものだった。

大館の敷地内にある赤レンガの建物と長い階段の散策路

ソーホーのミッドレベル・エスカレーター周辺やハリウッドロードに沿って歩いていると、親しみやすい街の風景が目を引いた。ベイクハウスの前には、黄色や赤の傘を持った人々が香ばしいパンの香りに誘われて長い行列を作っており、その前をなじみ深い赤いタクシーがすり抜けていった。最も香港らしい日常の一片を眺めながら、雨足が少しずつ強まる路地裏を静かに散策した。

ベイクハウス前の通りとその前を通り過ぎる赤いタクシー

ソーホーの上り坂には、可愛らしいショップやウォールアートの通りが長く続いていた。建物の外壁全体を色鮮やかなグラフィティで埋め尽くしたブルックリンバーの建物や、センスの良いショップが歩行者の足を止めさせていた。しっとりとした雨水に反射した歩道と、壁画の色彩が調和して、一枚の絵画のような雰囲気を演出していた。

ソーホー地区の急な坂道と高層の住宅ビル群
建物の角の壁面に細密に描かれたオールド香港の壁画
華やかなグラフィティアートで装飾されたブルックリンバーの外観

立ち止まった都市、旺角で出会った静寂

昼頃には、気になっていた靴のショップを訪れるため、旺角のショッピングモール「THE FOREST」へと向かった。当時、韓国では本当に手に入りにくかったサロモンの直営店がそこに入っていたため、期待を抱いてモールの入り口へとたどり着いた。しかし、入り口に入った瞬間、屋外エスカレーターが強制的に稼働を止め、営業していたショップが慌ただしくシャッターを閉めている奇妙な光景を目撃した。

旺角のショッピングモール「THE FOREST」の入り口と停止したエスカレーター

入り口に立てられた案内板には「Typhoon Signal No. 8 is Hoisted」という文字がはっきりと書かれていた。最高レベルであるシグナル9の直前、台風シグナル8の警告が発令されたのだった。香港では、シグナル8が発令されると公共交通機関の運行が全面的にストップし、商店も早期閉店しなければならない。バスもタクシーも走れず、エスカレーターまで止まってしまうという、想像すらしていなかった状況に思わず苦笑いがこぼれた。

台風シグナル8の発令を知らせるショッピングモール入り口の案内板

通りに出てみると、普段は人々でごった返す旺角のポートランドストリートが、嘘のようにぽっかりと空いていた。通りを行き交う人々も、車の音も消え去った静けさの中で、パステルカラーに彩られた数多くの高層マンション群だけが、静かにその場に佇んでいた。欲しかった靴は買えなかったが、台風のおかげで、誰もが簡単には出会えない「静寂に包まれた香港」という独特の顔を目撃することができた。予期せぬハプニングさえも柔軟に受け止めることこそ、一人旅の本当の醍醐味ではないかと思いながら、静まり返った通りをゆったりと歩いた。

台風警告により人影が消えた旺角のポートランドストリート
旺角の街にそびえ立つ、パステルカラーのカラフルで年季の入ったマンション群
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